かつて、緩和ケア病棟でボランティアをしていましたボランティアの事が思い出されます。
ティタイムの時間には、患者さまもこの時間を楽しみにしています。
「外の風」を運ぶといわれる世間話に、お互いに話が弾んでいました。
患者さまには、ご自分の心の苦しみを話される方もいます。
患者さまのひと言一言に、ボランティアは「分かります」との繰り返しのみでした。
とうとう、患者さまが「あなたは『分かります』の繰り返しばかりで、簡単に私の気持ちが、分かって下されるの」と表情を曇らせてしまいました。
私の体験から、患者さまの発する言葉には深い想いが込められています。
瞬時に、患者さまの気持ちを汲み取る事は、難しいと思っています。
では、私は、患者さまが話切るまで、ゆっくりとアイコンタクトを取りながら、頷く事を続けます。
そして、暫く「間」を置いて「お話を伺って、私もお気持ちが分かりました」と、返事をしています。
患者さまは、ボランティアに答えを求めているのではなく、話を聴いて欲しいと言う想いを汲み取って差し上げることではないでしょうか。
「分かります」と「分かりました」と、微妙な表現ですが、「受容」という意味合いからも、相手の気持ちに添う言葉の慎重さと危険さを痛感した事例を紹介しました。