青い実の蜜柑

地下鉄の階段が濡れているということは、外は雨が降っていることがわかります。

昨日の爽やかさはどこに行ったのでしょうか。
この季節に気になっている蜜柑の木があり、チョット寄り道をしました。
驚きました。なんと今年ははち切れんばかりの青い実を付けています。
すでに20年ほど前になりますが、この蜜柑は両親の反対を押し切って、結婚した若いカップルから相談され、近所のお庭に引っ越し、移植されたものでした。
若いカップルの男性の自宅にあったものですが、両親が相次ぎ亡くなり、自宅を手放すことになり、彼は母が大切にしていた蜜柑の木を引き取り、転居先を探していたのでした。
私の父親が知り合いと折り合って今日まで、蜜柑の木は毎年、新天地で緑の葉は季節を裏切らないで繁っています。
しかし実を付けた記憶がないのです。ましてや、実が熟したこともない蜜柑の木です。
ところが、雨の雫とともに大きな実が幾つか付いています。
残念ですが、良き報告をしたくても、既に若いカップルは、無理に無理を重ね、心身ともに悲鳴をあげて、天国に引っ越してしまいました。
亡くなった私の父親が、このカップルを自宅に招きとても可愛がっていました。
「今年は大きな実が付いているわよ」と話しかける相手がいないことに、寂しさが募ります。