日本経済新聞の朝刊に、1か月ごとに各界で活躍の人による「私の履歴書」が掲載される。
今月5月は、女優の吉行和子氏である。
スペイン風邪の大流行で、15歳の母であるあぐりは、前衛的な文章を書く作家のエイスケという作家に嫁ぎ、美容師の仕事で支えたそうだ。
実は、父親であるエイスケ氏は岡山の出身者であった。
NHKの連続ドラマを見る機会のなかった私は、初めて知ったのである。
更に兄である吉行惇之介氏が生まれても、妻子を岡山に残して東京に行ってしまったという。
生活のために、母親のあぐりとは、96歳になると「50年前から行きたかった」という宮崎のコスモス畑や岡山のレンゲ畑にも出かけたとある。
50年前からたかった岡山のレンゲ畑を、親子はどのような想いで見たのであろうか。
私にとっても、懐かしい思い出の風景である。
わたしにも、同郷の岡山の自宅の前に、あたり一面がレンゲでピンク色に染まった風景を、懐かしく思いだしていた。