いくら体調を考え、密を避けて買い物に出かける回数を減らし、我慢を重ねるにも、限界があるなと考えながら歩いて居た。
急に、今夜はお刺身が食べたいと想ったら、もう一途にスーパーに足取りも軽やかになる。
お刺身のコーナーで、一瞬、目を疑ったのである。
「愛媛県産 ほうぼうの刺身」とある。
もう、懐かしいふるさとで、食したコリコリと引き締まった白身の魚で、
丁度、若い売り場の男性の店員さんに、思わず、「これ、ほうぼうのお刺身じゃない、信じられない、ありがとう」と、声を興奮気味にかけた。
処が「お客さん、僕、ほうぼうという魚知らないんです」
「じゃ、ネットで調べてね。ちょっと、個性的な姿だけど」
もう、宝物でも見つけたように、私は嬉しかった。
矢張り、期待は裏切らないで、懐かしい瀬戸内ならではの、味が口中に広がり、これは恐らく、瀬戸内の海の神様からのプレゼントだと想った。