恥ずかしながら、この歳になって、こんな素敵な季節を表現する日本語を
知らなかった。
日本経済新聞の8月18日のコラム欄「春秋」によれば、世界有数の多雨地域ゆえ、日本語は雨を表す表現が豊かだ。
その一つが「すすき梅雨」で、夏の終わりから秋にかけて、秋雨前線がもたらす長雨のことで、なんともいえぬ趣があると。
梅雨でも「菜種梅雨」「山茶花梅雨」は、私も手紙で季節の挨拶に、前述の菜種梅雨と山茶花梅雨は使用していたが、すすき梅雨は初めて知った。
すすきについては、私にはいくつかの思い出がある。
先ずは、嘗て、竜ケ崎カントリークラブのメンバーで、クラブバスを利用を逃した際、常磐線の佐貫駅と竜ケ崎を結ぶ、当時2両ほどの列車に乗るのだが、ゴルフ場からの帰路、竜ケ崎駅に、バケツにたくさんの「すすき」があり、「どうぞ、よろしかったら、お持ちください」とある。
時は、中秋の名月といわれる季節で、私は遠慮なく数本の束になったすすきを頂いて帰った。
次は、私が、緩和ケア病棟でボランティアをしている時、毎月、季節の行事があり、9月は「お月見」であり、花屋さんにすすきを依頼した。
何と、1束でなく、1本が400円との値段に驚いた思い出がある。
最後は今年、60周年を迎えるふるさとのお山のてっぺんにある「岡山天文博物館」の周囲には、立派なすすきの穂波がお山の風に任せて揺れている
風情に、私は、魅入ってしまった。
61年ぶりに帰郷した私を、ふるさとのお山で、すすきがお迎えをしてくれたのである。
最近、私は、美しい日本が失われつつある現状をとても残念で仕方なく想い、時には悲しくなってくる。
今日も愚図ついた空模様を見上げながら、これが「すすき梅雨」なのだと想うと、気持ちが落ち着いてくるのである。