黒板五郎の遺言

昨夜の心地よい疲れが今朝まで尾をひいているようだ。

重苦しい雲が広がったり、青空を覗かせたり、気紛れな空模様である。

 

先日、図書館より借りていた倉本聰・碓井広義による「『北の国から』黒板五郎の言葉」を読み始めるや、ほとんど、毎回欠かさずといってもよいほど黒板五郎の生き方に驚きの連続だった。

 

読んでいるうちに、私はすっかり、嘗てのドラマの世界に入っていた。

一気に読み通したが、今、改めて、最後の黒板五郎の遺言の言葉だった。

 

その言葉を紹介すると、「金なんか望むな。倖せだけをみろ。ここには何もないが自然だけはある。自然はお前らを死なない程度には充分毎年喰わしてくれる。自然から頂戴しろ。そして謙虚に、つつましく生きろ。それが父さんの、お前らへの遺言だ」と。

 

今、この自然が痛んでいるだけに、私は言葉の重さを感じ取った。

 

倉本聰氏が、「北の国から」の発想に至った経緯が最初に著している。

短い言葉ではあるが、その一言一言には、怒りすら覚えるほどの厳しさが溢れている。

 

「神無月」といわれる10月は、私にはできれば早く通り過ぎてほしいと、

願うほど、様々なハプニングに見舞われ、単純に神様はみんな出雲大社に

集まっていて、神様はお留守なんだと考えるほど、心身ともに、疲れた。

 

その疲れに「活」を入れてくれたのが、黒板五郎の言葉だった。

「図書の力」は素晴らしいと改めて実感した。