海老で鯛を釣りたい

四谷にある用事を思いだした私は、身繕いも早々に約束の時間に間に合うようにと案じながら自宅を後にした。

 

お陰様で、相手をお待たせしないで、要件も済ませた。

 

気が付くと、ちょうど、昼食の時間でもあり、別に縁起を担ぐ訳ではないのだが、ある飲食店の前で足が止まった。

 

明日、怪我をして丁度、一か月で、これまで毎週レントゲンと問診が、実は明日の診察は、2週間という期間があり、少しずつだけれども、回復の

途上にある様に感じていた。

 

しかし、目視でわかる症状はなく、気にはなっていたのである。

 

昼食を済ませて帰るのが楽だと思い、吸い込まれるかの如くテーブルに腰を下ろしていた。

 

すかさず、私は「エビフライ定食」を頼んだ。

 

間もなく、目を見張るような大きなエビフライ定食が運ばれたのに、目を見張った。

 

と同時に、自宅で孤食には慣れているものの、どこかで隙間風を感じる。

残念乍ら、ふるさとの海老の味はなく、大味であった。

 

でも、明日の結果が大海老だろうと、ふるさとの海老だろうが、私にとっては「海老で鯛を釣りたい」心境には変わりがない。

 

お陰様で、些か、毎日の食事のエネルギーオーバーか、夕食はパスした。