今夜は満月、ハンターズムーンである。
何時からか、私は早朝から夕刻、夜に至る宇宙ショーを楽しみにするようになった経緯を改めてみると、17歳まで過ごした故郷によるものだ。
虚弱だった幼少期、私はこれまでに様々な場面で、空を見あげると気持ちが和らぐことが身についていた。
どうも文字に起こす作業がスムースに運ばず、どうしたマリ子と情けない自分に辟易している時間が過ぎている。
リセットしようと、朝夕の2回の散歩は、ほどんど、空を見あげながら歩き続けている。
十三夜の27日も、月を追いかけてキャッチできる場所を探していた。
雲間から、月が見えるまで佇んでいた。
未だ昼間の明るさを残しながら、徐々に月が現れると、表情がほころび、気持ちが落ち着くのである。
6月に新潮社から発刊された坂本龍一の「ぼくはあと何回満月を見るだろう」によって、私の月への拘りを決定づけた。
特に2020年9月に脳神経外科で3センチ大の髄膜種の手術で入院した病室の正面から、真正面にスカイツリー、羽田空港を離陸する飛行機、雲間から見えてくる月が、やがて月光鮮やかに、病室に近づいてくる。
リハビリをかけて2週間、新型コロナウイルスで隔離状態にある私は病室から見える宇宙ショーに励まされた。
今にして思えば、坂本龍一の想いが重なってくるのである。
ハンターズムーンと出会い、公園で見続けていた。