何時頃だろうか、自宅のマンションの前の植え込みの青々とした雑草が気になっていた。
昨日夕刻からの初雪に始まり、霙雨に変わり、乾燥していた植え込みも、
いつもに増して小松菜に似た葉はピーンと元気だ。
草取りには絶好の日である。
深く根を張っていても、雨で土が柔らかくなっているので、抜きやすく根っこをとり残すこともなく、もちろん引き抜く力も必要ないからである。
するすると抜ける様に、ストレス解消になる。
草取り、草毟り、草刈りと言葉が頭を駆け巡る。
語尾が全て「り」で終わっている。
表現の差について気になり始めた。
抵抗なく私は草取りと想っているが、愛用のセピア色の辞書を引いた。
「取る」は数ある中で「掴む」「除く」が該当すると思った。
「毟る」は「つまんで引き抜く」、「つまんでクシャクシャにする」と、
「クシャクシャ」のイメージがあった。
「毟る」という活字から、金田一耕助の行動パターンを思い出す。
「刈る」は、「鎌」という道具で、稲刈りをする故郷の風景が、また草刈り機に繋がる。
土の香りも懐かしく、心は何時しか故郷での草取りに想いを馳せていた。