刺し子

固定電話に友人から沈んだ声で、施設に入居していたお母様が早朝に亡くなったという連絡だった。

 

今、そのお母様手製の刺し子を敷いたパソコンにブログを入力している。

 

高齢により認知能力を案じた友人から、刺し子が得意で役に立てないかとの相談に、ランチョンマットにと思い付いた。

 

ボランティアの資金作りにと、友人を通して定期的に送ってくれた。

カラフルで、花や幾何学模様だったり、希望者が増えて来た。

 

「人の為、世の為」と言いながら、お母さんは嘗ての明るさと元気を取り戻してくれたと友人にも喜んでもらった。

 

聞くところによれば、数え年で102歳、眠るかのように静かにご主人のもとに引っ越された。

 

人は幾つになっても、人に喜んでもらうことを生きがいに、残された人生を丁寧に生きてゐることを学んだ。