神無月はミステリアス

美術の商いをしていたころ、神無月といわれる10月が決算月だった。

 

必ず、筆記具のボールペンのインキがなくなる、会計伝票が、小切手の用紙切れ、珈琲豆がなくなるといった事態に陥る。

 

後にワープロも同じくインクリボン切れになるといった具合である。

 

偶然といえばそれまでだが、商いを続けていた25年近く毎年、決まって同じことが起こった。

 

ミステリアスとも思ったり、「吉」なのか「凶」なのかと、決算月になると慮ったりもした。

 

が、20年近く経った今年2024年の神無月の10月に同じようなことが起こったのである。

 

愛用しているパーカーのボールペンのインク切れに始まり、銀行の通帳の記載項目もお終い、ストックしていた数種の具材や調味料がなくなった。

 

齢を重ねてきた現在、「吉なのか凶なのか」と、ミステリアスな偶然に、想いを馳せ、むしろ楽しんでいる。