スーパーの店頭は、クリスマスと正月飾りが同居している季節になった。
野菜コーナーで、慈姑が並んでいるのを見つけた。
我が家では慈姑に百合の根、八ツ頭は必ず、正月の食膳には欠かせない。
我が家の三点セットのうち、慈姑は故郷岡山の隣の福山市が日本一の産地だと報じていた。
一寸えぐみがあるも、何とも言えない感触が好きで、両親から、子どものくせに、大人が好み、酒のお供に良いものが好きなんて、母親は眉をひそめていた。
また、茶わん蒸しに忍ばせているゆり根と銀杏にも目がなく、こちらも同様に母を困らせていたことを今では懐かしく思い出す。
物価高の現在、唯横目で眺めながら、素通りする私だが、今となっては手の届かない大人の味が、貴重な思いでなっている。