梅雨の季節は何と言っても紫陽花の華やかな花の花数々に心が和みます。
特に入院中の病気の方にとっては、季節感に疎くなりがちです。また、病状が重いことに苦しんでいます家族の方もゆとりを失いがちです。
入院中の父親の回復が思わしくなく、涙を堪えて病室を去る娘さんに、ある日向かい側に奥様が入院していますご主人から声をかけられました。
「あなたの名前が久美子さんと知りました。実は毎日お父様を見舞われ頑張っていらっしゃるあなたに、自宅の庭に咲いています紫陽花の花を持ってきました。あなたに是非受け取っていただきたいのです」
突然のことで娘さんは驚きを隠せないでいました。
「そうですよね、不躾なことで、この紫陽花の名前があなたの名前と同じ久美子というのです。本当はミセスクミコというそうです」
1992年国際園芸博覧会「フロリアート」で、金賞を受賞したオリジナル作品だそうです。
ともすれば、病気を抱えています家族も目の前の我がことにとらわれて当たり前ですが、ご主人の心遣いに娘さんはどんなにか心を和ませてもらいましたと。相手にも同じように思いやる気持ちの大切さを学びました。