20数年前、胃ガンで亡くなった祖母の笑顔が今も忘れることはないと、話された方が、亡き祖母との大切な思い出を風化させたくないとの想いを
私に話して下さいました。
その方は中学生の時代は、好物を作って待っていてくれる祖母の家で夏休み、春休みを過ごしたそうです。
祖母の家は、彼にとっては、全てが珍しく、ワンダーランドの様だったと、当時について目を輝かせて話す表情から、いかに祖母と過ごす休日が楽しかったかが伝わってきます。
彼が大学を通い始めた頃、大好きな祖母が体調を崩して入院したとの連絡を受け、然も胃ガンと知った彼は、お見舞いのお金を用意し、病院に向かったそうです。
彼はお見舞いのお金だけではとの、祖母に対する愛情に、途中でスーパーに立ち寄り、季節が5月で、陳列台の柏餅が目に入ったのですが、お見舞いといえば、花とか果物という気持ちも過ぎりましたが、やはり柏餅にしました。
突然の孫の見舞いに驚いた様ですが、祖母は彼の大学生活の話を楽しそうに頷いていました。
祖母はベッドサイドのスーパーのレジ袋が気になっていました。
お見舞いに柏餅を買って来たと祖母に告げると、「美味しそうだね、食べていい」と尋ねるや、何とあっという間に、二つの柏餅を美味しそうに、満面の笑顔で食べたそうです。
お見舞いの報告を母親に報告すると、病状を弁えない行為に、痛く叱られ
それ以来、ずっと心に大きな傷となっていたといいます。
一時退院迄に回復した祖母から、あの時の柏餅は本当に美味しかったと、入院時と同じ満面の笑顔で話してくれました。
恐らく、柏餅は祖母と彼との大切な思い出のあるものだったに違いないのではないでしょうか。
今もあの時の祖母の笑顔を忘れることはできないと私に話をした彼の表情は、これまでの祖母との深い絆を感じ、胸が熱くなりました。
これぞ、正しく「永遠の笑顔 」だと思いました。