43歳の時、職場で急に身体の不調を覚え、救急車で病院に行ったところ、即、そのまま入院をする必要があると言われた。
大腸がんと医師から告げられた。
これまで病気らしい病気をした経験が無く、自分の為に慌ただしく治療を施してくれる姿に、内心驚いたという。
毎日が目のまわる程の多くの検査が続きました。
その結果、腹膜にまでがんが転移していた。
入院をして化学療法を2週間毎に繰り返す治療をすると、医師から懇切な
説明を受けるが、初めての経験に、冷静になれる状態ではなかった。
病気になって、自分が過ごして来た生き方とは違う医療の現場で、一人の患者に対して、多くの人が自分の為に真剣に向き合ってくれている行為に、自分は、これまで職場で人に対して「トゲ」を持って生きてきた。
化学療法で、定期的に入退院を繰り返している内に、私に関わってくれている医療者の姿に、自分の中で何かが変わり始めている。
病気になって初めて自分の生き方を考える機会となったと、穏やかな表情で、自分に言い聞かせるかの様に、話していたのが、その方との最期になりました。
確か梅雨明け宣言後の、暑い日でした。