6時過ぎの朝は、ベランダ越しに見える空は鉛色の雲が垂れ込めていた。
ポストに朝刊を取りに行く際に、反対側の廊下に出て、空を見上げるつもりが、つい、地面の方を何気なく見下ろした。
一瞬、赤い色が見下ろした視界の左側に飛び込んできた。
玄関の植え込みの一面が白い山茶花の中に、一輪だけ、赤い山茶花が咲いていたのである。
その中で、白い花に負けないように、背伸びをしてかのように、高い位置に赤い山茶花の花が咲いている。
今年、最初の赤い山茶花の花のお披露目だと、外に出て見上げると、白い花が咲いている枝ぶりに遮られて見えない。
昨日7日は「立冬」である。
季節の几帳面さに「自然の力」を感じ、改めて凄いなあと。
それで、思い出したのは、「紅花」は、群生している中で、一輪だけ、黄色い花をつけ、それを合図に花が咲き始めるという話を聞いた。
紅花にはリーダーのような花の開花でスタートするという自然界の不思議さに驚いた記憶がある。
我が家の玄関の白い山茶花から、赤い山茶花の花への主役交代が始まるということである。
赤い山茶花は、色彩的に季節の移ろいを感じる。
冬の足音を既に、赤い山茶花は感じているのであろうか。
思わず、「♫さざんか さざんか さいたみち♫」と、童謡の「たきび」を口ずさんでいた。