夕刻の散歩コースは、ちょうど、満ち潮時で、川をひたひたと、水が遡ってくる風景を橋の上から見るのが楽しみで、マスクを外すと、微かに磯の香りらしきものが感じられる。
橋を挟んだ両側には、屋形船の船溜まりで、かれこれ、20隻ほどが、ゆらゆらと、揺れている。
コロナ発症後、屋形船、釣り船は、利用者の姿もなく、いつも係留されている寂しい風景だった。
ところが、今日は違っていた。
川の水も黒く見える中に、屋形船のピンク色の提灯に、煌々と明かりがつき、長いテーブルには、箸や小皿が並んでいるのが、はっきり見える。
思わず、やっと、屋形船の利用者が戻ってきたと知り、心が弾んできた。
今夜の乗船客と思われる5~6人が、何やら楽しそうに会話している。
今でこそ、日本はコロナの感染状態が落ち着いているが、昨年の1月には
新型コロナの感染者が発表され、屋形船の利用者からと一気にメディアも
取り上げた。
毎日、私は散歩で橋上から、川の流れに身を任せた暗い屋形船を見ていると、とても遣る瀬無い気持ちになる。
早く、屋形船の灯りが戻る日を待っていただけに、とても嬉しかった。