日本経済新聞の第二部に、「人生100年の羅針盤 オフライフ」に、ふるさとから山陽本線で4駅先に広島県福山市がある。
今、旅行案内でも、必ず、福山市の鞆の浦がコースに入っている程、有名であり、桜鯛でも知られ、宮島、厳島神社と、紹介されている。
最近、亡くなった父親の夢を何故かよく見る。
いよいよ、人生も百年時代に突入したのかと、自分の歳に重ね合わせると複雑な気持ちに捉われてしまう。
そんな想いで、新聞を追いかけて読んでいるうちに、鞆の浦の名物である
「保命酒」の懐かしい文字に、思わず、身を実を乗り出した。
記事によれば、生薬を漬け込んだ甘い酒で約360年の伝統があるそうだ。
亡くなった父親は、仕事で福山に出かけると、必ず、「保命酒」をお土産と言って私に手渡してくれた。
母親はお酒だからと、私に手渡す父親に対して、「マリ子にですか」と、
仏頂面をする母親と父親の会話を、妙に鮮明に記憶している。
父親は「からだに良いから、お湯に割って少し飲ませるのだから、大丈夫だよ」と、言いながら「滋養になるから」とも。
「保命酒」には、このような思い出があるだけに、何と、1854年、下田に寄港したペリー提督にも供されたという記録があるそうだ。
父親はまさかそのような歴史があるとは知らず、唯々、病弱の私に対して恐らく風邪薬のつもりで、お土産に買ってきてくれたのだろうと想う。