初心に戻った写真

日本経済新聞の朝刊に「写真家がいた場所」の最終回に、植田正治「パパとママとコドモたち」に、臨床哲学者の鷲田清一教授の『「聴く」ことの力』が瞬時に結び付いた。

 

かつて、鷲田清一教授に、仕事で研究室をお訪ねして、凡そ、一時間ほど

「聴く」ことの大切さについて、お話をさせていただいたことと、重なり

感激と、興奮すら覚えた。

 

唯々、暫く、最近コロナ禍に置いて、話すことも聴くことも奪われてしまい、毎日、落ち込まない生活の努力に励んでいる。

 

丁度、話を「聞く」から、「聴く」ことにそれなりに学んでいる途上にあった私は、抵抗なく、私の心を潤してくれた「テキスト」の存在だった。

 

さらに、植田正治氏の写真がバランスよく挿入されているのが、更に私の

心に残っていた。

 

兎に角、植田正治作品に出合えた幸せに、当時のままの感情が鮮やかに蘇り、気持ちが晴れ晴れとしてくるのが分かった。

 

記事には太田菜穂子キュレーターの解説によれば、「世界を虜にしたシュルレアリスムの香りを放つ幻想的でシンプル、かつユニークな写真表現」

と解説している。

 

兎にも角にも、私にとっては、ある意味で、「聴く」という人生の進路を

決定されたといっても過言ではない。